モチの語源
昔むかし、モチはモチイと呼ばれていました。
承平年間(931年〜938年)の『和名類聚抄』には、「毛知比(もちひ)」としてモチが出てきます。また、元禄10年(1697年)の『本朝食鑑』には、「餅 毛知(モチ)と訓(よ)む 昔は毛知比(もちひ)と訓(よ)んだ」と書いてあるそうです。このことから、17世紀には、現在のようにモチと呼ぶようになったようです。
また、モチイの語源をたどるとモチイイ(糯飯)に行きつきます。餅米のごはんという意味ですね。そして、平安時代の女房詞では、モチのことを「カチン」といいました。これは、「カチイイ(搗き飯)」から来ています。搗(つ)いたお米ということです。餅米、固まる、搗いたというキーワードです。
さらに、西表島などの南西諸島では、粘り気のことを「ムチミ(餅味)」といったそうです。つまり、粘り気を現す言葉がそのまま餅をあらわしたのです。
このあたりを総括すると、モチの語源は、「粘り気」を意味する古代の言葉から来ているのが妥当と考えられます。
他には、モチは満月を意味する望月(もちづき)から来たとも言われることがあります。餅の形が鏡餅のように丸いものが多かったからという理由だそうです。
そして最後に、かの柳田国男先生は、餅が古代日本で唯一所有を許された食べ物であることから、「モツ(持つ)」という動詞がモチという言葉の由来であると言う説を唱えています。
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